発酵容器に変革の兆し?近年、注目を浴びるコンクリートタンクとは!

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ワインの醸造過程において、行われるアルコール発酵。収穫したぶどうを圧搾し、得られた果汁と酵母を発酵容器に入れてアルコールを作り出します。アルコール発酵には、ステンレスタンクやオーク槽などが使用されますが、近年、コンクリートタンクを使用する生産者が増えてきており、注目されています。

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発酵容器の種類

発酵容器には材質の違いにより、3種類の容器が主として使用されます。この容器の材質の違いが、最終的なワインの仕上がりに大きな影響をもたらすため、生産者は自らが望んだワインの味わいや香りを表現するため、研究を重ね発酵容器を選んでいるのです。

ステンレスタンク

現在、最も主流な発酵容器はステンレス製のタンクです。ステンレスタンクのメリットとして、以下の点が挙げられます。

①タンクの洗浄がしやすいため、衛生管理が容易である

②耐久性が高く買い替えなどを必要としないため、他の容器と比べると安い

③発酵時の温度管理が容易である

ステンレスタンクはオーク槽より安価であるため、低価格帯のワインの発酵には、専らステンレスタンクが使用されることが多く、また、フレッシュでクリーンなワインを造る際にもステンレスタンクが用いられます。

オーク槽

オークを使用するメリットは、以下の点が挙げられます。

①透気性があるため、タンニンが酸素と交わり味わいが丸くなる

②小樽発酵を行った場合、樽材からの成分が抽出され、複雑味が増す

オーク槽は、50hlの容量でも約300万円ほどかかり、その価格はステンレスタンクの2倍と言われています。さらに、樽材にバクテリアなどが侵入する危険性もあるため、衛生管理が難しくなります。オーク槽の洗浄にはステンレスタンクの4倍の時間がかかるとも言われています。このように、オーク槽はワインにプラスアルファの働きをもたらしてくれるものの、管理面や費用面で維持が容易ではありません。比較的資金力のある大規模な生産者に使用が限られてきます。

コンクリートタンク

コンクリートタンクは、近年、ステンレスタンクやオーク槽に代わる発酵容器として注目されてきています。一昔前までコンクリートタンク自体は使用されていましたが、1970年代から1980年代にかけてステンレスタンクが普及すると共に徐々に使用されなくなっていきました。コンクリートタンクを使用するメリットとしては、以下のことが挙げられます。

①微量な通気性があり、ワインが呼吸出来ること

②コンクリート自身の香りがワインに移ることがなく、「ニュートラル性」を保てること

③外部からの温度干渉を受けない

④ワインに円やかさと厚みが増す

コンクリートタンクは、オークと同じく通気性を持ち、微量な酸素がワインへ供給されます。さらに分厚いコンクリートの壁は、外部の気温からの影響を受けにくいため、ステンレスタンクのように温度管理が必要ありません。

また、オークのように樽の香りがワインに移るということがなく、常にニュートラル性を維持出来るため、ぶどう本来のアロマやテロワールの表現が可能になります。

さらに、出来たワインは酸素と触れ合ったことで口当たりがよく、ステンレスタンクよりもリッチに仕上がりながらも、クリーンさやフレッシュさも保つことが出来ます。

もちろん、コンクリート・タンクのデメリットもあります。価格はオークと同じくらいである上に、その重量が故に輸送コストがかなりかかること。さらにメンテナンスがやや難しく、塩素や熱湯、オゾンや強い酸性液体に弱いなど、他の発酵容器と同じような掃除が出来ないという点が挙げられます。

オーク槽とステンレスタンクの長所を上手く融合させたコンクリートタンクですが、近年は、世界中の有名ワイナリーもこのコンクリートタンクを採用する動きが増えてきています。中でもフランスのコンクリートタンクメーカー、Nomblot社が造る卵型の「コンクリート・エッグ」を取り入れる生産者が増えてきています。

卵型コンクリートタンク、通称「コンクリート・エッグ」

通称「コンクリート・エッグ」とも呼ばれるこのタンクは、その名の通り卵型をしたコンクリートタンクです。化学添加物や鉄などは一切使用されていません。

コンクリート・エッグは、その卵型の形状から、内部で発生したガスが渦のような流れを起こし、澱を上面に向かって撹拌してくれるというメリットがあります。ちなみにこの卵型の形状とサイズは、「黄金比」に基いて制作されているとのこと。

現在、このコンクリート・エッグを中心に、世界中のワイナリーで導入されています。ドメーヌ・デュジャック、シャトー・パプ・クレマン、シャトー・デュ・テルトル、アンリ・ジローなど、有名ワイナリーもこのタイプを使用しています。

しかしこのコンクリート・エッグ、元々はローヌの名門ワイナリー「シャプティエ」が試作品をNomblot社に依頼して制作されたのですが、後にこのコンクリート・エッグのデザインの権利を巡り、両者は裁判沙汰にまで発展したようです。

その他にも円錐型やアンフォラ型をしたコンクリートタンクも制作され、世界中のワイナリーに浸透してきています。

コンクリートタンクを使用する生産者

シャトー・シュヴァル・ブラン(フランス/ボルドー)

現在、シュヴァル・ブランは52基のものコンクリートタンクを所有しており、6列にも及びます。こちらはイタリア製で大小合わせて9種類(20hl〜110hl)ものタンクを使い分けています。畑の区画ごと、ぶどう品種ごとに発酵させることにより、シュヴァル・ブランがもつテロワールを最大限に引き出しています。

シャトー・ポンテ・カネ(フランス/ボルドー)

ポンテ・カネは、発酵と熟成にNomblot社のコンクリート・タンクを一部使用しています。

発酵には、大きな円錐型のコンクリート・タンクが使用されていますが、オーク槽による発酵も同時に行われています。

熟成にはアンフォラ型の「ドリア・タンク(dolia tank)」を約3分の1使用しています。これはNomblot社の特注品で、ワインとテロワールを結びつけるためにポンテ・カネの畑の土壌がコンクリートに混ぜられています。現在でもオークによる熟成も行っていますが、新樽の比率を年々少なくし、よりテロワールと自然を表現したありのままのワインに仕上げようという狙いがあります。

このようにコンクリート・コンクリートタンクは世界中のワイナリーで普及されていますが、未だに発酵には伝統的なオーク槽やステンレスタンクが使用されているのが現状です。ただし、近年のよりテロワールを意識した自然なワイン造りブームと相まって、コンクリート・タンクの普及は徐々に増えていくことが予想されます。

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